川湯温泉に命の息吹を告げる「つつじヶ原 朝の散策ツアー」
毎年春、川湯温泉に命の息吹を告げる「つつじヶ原 朝の散策ツアー」。40年以上続くこの旅の案内人は、温泉ソムリエでもある地域の語り部・池田 篤英さんです。大地と人が響き合う、朝の特別な1時間へご案内します。

40年受け継がれる、朝の特別な1時間
一歩足を踏み入れると、目の前に広がるのは一面真っ白なイソツツジの絨毯 。阿寒摩周国立公園のカルデラが育んだ「つつじヶ原」を歩く朝の散策ツアーは、40年以上の歴史を持つ川湯温泉の春の風物詩です。
「かつては大型バスツアーが主流で、浴衣姿に下駄を履いた観光客が100人以上も列をなし、拡声器を使って案内していた時代もありました」
そう愛おしそうに振り返るのは、主催の川湯地域運営協会でガイドを務める池田さん。時代の移り変わりとともに、自然を愛する個人客中心へと旅のスタイルは変わりましたが 、地元の先輩たちの背中を見て受け継いだ「地域の語り部」としての情熱は、今も池田さんの中に深く息づいています。

温泉ソムリエと行く、大地のエナジーを感じる道
「川湯の温泉はね、地中深くを掘って湧き出しているんじゃない。あそこに見える硫黄山から、そのまま流れてきているんですよ」
池田さんのガイドが特別なのは、自身の暮らしの一部である「温泉」の驚くべきメカニズムを、歩きながら五感で体感できる点にあります 。硫黄山から温泉街までの約4キロメートル、強酸性の名湯は空気に触れることなく、つつじヶ原の地下にある岩盤の上を今も脈々と流れています。

ツアーの終盤、硫黄山の手前に広がる砂場のような平地に差し掛かったとき、池田さんから「あるお願い」をされます。それは、足元の大地に向かって、あるアクションをしてみること。
実際にやってみると……「えっ!?」と思わず声を上げてしまう、不思議な感覚が足元から伝わってくるのです。
「これが、すぐ下を本物の温泉が流れている証拠。川湯温泉は、この溶岩が流れたわずか幅200メートル、東西1キロほどの狭いエリアでしか出会えない、奇跡の恵みなんです」
現地でしか絶対に味わえない、まさに地球の鼓動を耳と肌で聴く瞬間。
参加者がハッと驚き、顔を見合わせるこのワンシーンこそ、池田さんのガイドの隠れたハイライトです。

歴史をつむぎ、いのちがめざめる旅へ
明治時代、炭鉱の湯治場として始まった川湯温泉。かつて冬には、店先で地元のひとたちが一斉に木彫りのクマを彫り、春のツツジの開花とともに「さあ、観光シーズンが始まるぞ」と街全体が熱気に包まれていました。池田さんのやさしい言葉からは、目に見えない街の変遷や先人たちの暮らしの温もりが、ありありと立ち上ってきます。
「ただ景色を見るだけでなく、この土地の由来や不思議を知ってからお湯に浸かると、温泉のありがたみも、体への染み込み方も全く変わってきますから」
カルデラの壮大な自然に癒やされ、大地の生命に触れ、街の物語に心動かされる。これこそが、川湯温泉が掲げる「自然、まち、自分の再生型ツーリズム」の原点です。
この春、あなたも池田さんと一緒に「足元の秘密」を確かめに、そして心地よく「いのち、目覚める」特別な朝を過ごしにきませんか 。

池田 篤英さんから皆さんへのメッセージ
「つつじヶ原に広がる真っ白なツツジは、ただ眺めるだけでも本当に素晴らしい価値があります。でも、私たちはただ綺麗な景色をお見せするだけでなく、皆さんがまだ知らない川湯温泉の由来や、明治から紡がれてきた街の深い歴史を、お話を通じて体験していただきたいと思っています。
私たちがここで暮らしているからこそお伝えできる物語があり、それを聞いて驚いてくださる皆さんの笑顔が、私たちの元気の源です 。少しでも多くの方にこの特別な朝を体験していただき、楽しんで帰ってもらえたら嬉しいですね。それがまた、次の若い世代へとこの街の魅力をつないでいく力になります。
ぜひ、五感をめいっぱい開いて、川湯でしか味わえない地球と人の生命を感じにきてください。皆さんにお会いできるのを、楽しみに待っています」