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この土地ならではの感性と、人のあたたかさ。

摩周多夢窯 平出 隆子さん

一瞬で心を奪われた土の感触と、摩周ブルーの誕生。

平出さんが陶芸の世界に足を踏み入れたのは、今から約24年前。いとこからの何気ない勧めで土に触れた瞬間、彼女の人生は大きく動き出しました。西興部の教室に毎日お弁当を持参して通い詰め、一気にのめり込んでいった当時の情熱は、今も全く色褪せていません。その後、札幌市長賞を受賞するなど頭角を現した彼女は、持ちやすさを追求した独自の取っ手のデザインなどで多くのファンを獲得しました。そして平成15年、故郷である川湯へ戻り「摩周多夢窯」を開窯。彼女の作品の代名詞とも言える深く透き通るような青い釉薬「摩周ブルー」は、オホーツクの流氷や、屈斜路カルデラの雄大な自然にインスピレーションを得て生まれた、この土地ならではの色彩です。

作る喜びと、教える喜び。無心になれる時間の共有。

「作るのも楽しいけれど、半分は教えること、遊ぶことを楽しんでいます」と平出さんは朗らかに笑います。窯を開いた当初から体験教室を続けているのは、訪れる人々と交流し、共に土に触れる時間を何よりも愛しているからです。彼女の工房での体験は、ただ好きな形を作るだけではありません。指先の感覚に意識を集中させ、日常の喧騒や雑念を忘れて無心になる時間。そして、平出さんの温かく包み込むような対話を通じて、参加者は自分自身の内面と静かに向き合うことになります。遠方から何度も彼女の作品を求めて訪れるリピーターが多いのも、その器の美しさだけでなく、平出さん自身から溢れ出る人間的な魅力に惹きつけられているからに他なりません。

12回の転居を経てたどり着いた、故郷での穏やかな暮らし。

ご主人の転勤に伴い、実に12回もの引っ越しを経験してきた平出さん。退職を前に「最後はあなたの故郷に帰してあげる」というご主人の言葉で、この川湯の地に戻ってきました。「この町は人間関係がコンパクトで、とても暮らしやすいですね」と語る彼女の日常は、地域にしっかりと根を下ろしています。自宅には温泉を引き、時には町にある無料の共同浴場やホテルの温泉を楽しむ。春と秋が短く、季節が駆け足で過ぎていく道東の気候の中で、日々を慈しむように作陶を続ける彼女の生き方。摩周ブルーの器には、そんな平出さんの豊かな人生経験と、川湯という土地への深い敬意が焼き付けられています。体験を通じて、参加者はその温かな精神性を自分自身の思い出として持ち帰るのです。

摩周ブルー⁠、この土地ならではのインスピレーション⁠。〜⁠摩周多夢窯⁠・⁠平出さんと陶芸体験〜

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